山口晃「美のよりしろ 十選 6---電柱」より
絵を描く身からすると電柱は正に美のよりしろだ。点景として電柱を描く時、電線のはしらせ方ひとつで黄金比を表したり、心地よい律動を生んだりすることが出来る。なぜなら既にして絵画の要素の一つ「線」であるからだ。

 電柱単体を見ても到る所に美が下りて来ている。・・・ 高圧線の水平の広がりから引き下げ線の垂直の広がりに目を転じる時の、目の前の空間を改めて意識させられる開口感。優美に撓む接続線、それらを引き立てる碍子の艶やかな白(関西にある3連カットアウトは絶品)。各部の響きあいと空間への干渉。電柱を見ていると立華のエッセンスを思う事しばしだ。
(日本経済新聞 6/22 文化欄)

 りっ‐か【立花・立華】‐クワ

 1花や枝などを花瓶に立てて生けること。たてばな。

 2生け花の型の一。江戸前期に2世池坊専好(いけのぼうせんこう)が大成した最初の生け花様式。真とよばれる役枝を中央に立て、それに副(そえ)•請(うけ)などとよばれる七つの役枝(七つ道具という。のちに九つ道具となる)をあしらって全体として自然の様相をかたどったもの。現在、池坊に伝承されている。たてばな。