恩田陸「銀の箸の国で」より
最近、とみにナイフとフォークの食事がつらい。洋食は大好きだけど、両手が塞がるのや、肉を切ったナイフが皿に触れるカチンという音や、切ったものをフォークで突き刺す感触。皿の端に残ったサラダがフォークではどうしてもすくいあげられず、こっそり指で載せる後ろめたさ(単に不器用なだけか)がやけにつらく感じられるのである。
(日本経済新聞 6/21 文化欄)